空模様は、みぞれ雪

アイドルマスターの話をします

ススメ!シンデレラロードから紐解く岡崎泰葉

 お久しぶりです。「こんにちは。岡崎泰葉です。」のイベント告知を夢に見る回数が日に日に増えている岡崎泰葉Pです。目が覚めた時の絶望感は筆舌に尽くし難いです。

 ライブパーティーをしていて気付いたのですが、岡崎泰葉のススメ!シンデレラロードからもう1年経ちましたね。せっかくの機会なので、1年前の岡崎泰葉のススメ!シンデレラロードのお話を通じて私の担当の岡崎泰葉の話をしたいな、と思って筆を執りました。(遅筆すぎて筆を執ってから投稿まで時間が…LIVE Infinityのせいです。)

 

f:id:kn_imasp:20211113162640p:plain ※Plvその他が隠れているのはバグではなくて画像編集です

 

【注意】

・泰葉のコミュの色々なところから引っ張ってきているので、未読のものがある方にはうっかりネタバレなどあるかもしれません。

・テクストベースの解釈を心がけていますが、私の解釈に立脚するものであることはご了承ください。違うだろ!の意見もお待ちしております。

・便宜上、ススメ!シンデレラロードのことをスシローと省略します。某回転寿司屋のことを指してこの語を使うことは本記事においてはありません。

・長いです。

 

岡崎泰葉のスシローの立ち位置

 さて、お話を始める前にこのスシローが泰葉の物語全体の中でどのような立ち位置のものかについてお話する必要があります。前回のブログでも同じような表現を使ったのですが、このスシローは泰葉の物語の第3章の最初のシーンだと思っています。

 泰葉の物語は「現在」と向き合う第1章、「過去」を受け止める第2章、そして「未来」を抱く第3章という構成になっていると思っています。まずはこれらの第1章と第2章を振り返りつつ、スシローのどこが面白いのか、そして第3章はどうなっていくのかを考えていこうと思います。

 

 

第1章 「現在」を見つめて

 アイドル岡崎泰葉としての物語は16歳から始まりますが、彼女のことを語る上では過去を把握することは欠かせません。まずは泰葉の過去についてざっくりと触れ、そこからアイドル岡崎泰葉の物語がどう展開してきたのか、その第1章を見ていきます。

 第1章は泰葉が「現在」=アイドルとして活躍する今をどう捉えるか、という話です。子役・モデルとして活動していたところからアイドルに転身して活動を続け、ワンモアステップに至るまでを第1章と捉えています。

 

子役・モデル時代

 泰葉は5歳の頃から子役として活躍してきました。そして役者とモデルとして11年間芸能界で活躍を続けます。しかしある日、泰葉は自分がなぜ芸能界にしがみついているのかわからなくなります。仕事の楽しみも忘れて、大人の言うことを聞いて行動するただの人形になってしまっている現状に気がついたのです。そこで出会ったのがP(プロデューサー)です。真面目に、誠実に仕事をすることを信条としてきた泰葉は、楽しそうに仕事をするPの姿に興味を持ち、アイドルの世界でなら芸能界に入った時と同じような楽しさを感じながら仕事ができるのでは、と考えてアイドルに転身しました。

 泰葉が普通の女の子に戻るのではなくアイドルに転身することを選んだ理由は、今まで自分を支えてくれたファンの存在を蔑ろにはできないと考えたからです。こうして泰葉はアイドルとしての第一歩を踏み出しました。

 

出発点:初期R

 さて、こうしてアイドルの道を歩き始めた泰葉ですが、その初期のセリフは読んでいるこっちが小っ恥ずかしくなるような不器用さが見られます。「大丈夫、一人で出来ますから」「今更私がプロデューサーに教えて貰うことなんて…」など、隙を見せないように生きてきた彼女らしいセリフがあります。それにしたって不器用そう。そんなところも好きだぜ。「早くアイドルって認められたいの」「誰にも負けたくないから…」など、アイドルとして前へ前へ行こうとする焦りのようなものが見えます。しかしその一方で「いつでも基本が大事ですよね」と芸歴の長さから培ってきた感覚が垣間見えることもあります。

 そして何より注目すべきセリフはこれです。

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 アイドルとして仕事を重ねていくうちにワクワクや楽しさ、充実感などを思い出しながら仕事ができるようになった、というセリフです。アイドルを始めてから泰葉が求めていた仕事の楽しみを取り戻しつつある、ということですね。

 長い芸歴という武器を持ちながらもアイドルとしてはまだまだ駆け出しで初々しさがあり、しかしアイドルの仕事を通じて仕事の楽しみを取り戻しつつある。それが泰葉のアイドル初期でした。

 

通過点:小さな一歩

f:id:kn_imasp:20211204005009j:plain 大きなリボンが可愛らしい

 このカードは泰葉の2枚目のカードですが、後に触れることになるのでここでも軽く触れておこうと思います。

 このカードはアイドルの仕事を続けていったことでアイドルとしての自覚が芽生え始める、というカードです。LIVEバトルのセリフで「私は…アイドルです…!」というセリフがあります。そして親愛度演出では「これからも、もっと楽しくアイドルを続けたいです…!」。泰葉は元子役でも元モデルでもなくアイドルであって、これからもアイドルとして輝き続けることをPに誓ってくれています。プロデューサー冥利に尽きますね。

 あと特訓前のイラストでは眼鏡をしているのですが、これは泰葉のオフの時にしか見られない姿です。この眼鏡によるオンとオフの切り替えについては次項で軽く触れます。

 

番外:『アイドルマスターシンデレラガールズ ニュージェネレーションズ』の岡崎泰葉

 さて、話題が変わるのですが皆さんは『アイドルマスターシンデレラガールズ ニュージェネレーションズ』という漫画を読んだことがあるでしょうか。タイトルの通りニュージェネの3人の成長と活躍を描いたシンデレラガールズのコミカライズ作品なのですが、そこに登場する岡崎泰葉についても触れないといけません。

 この漫画で泰葉は3人の先輩のポジションで出演しています。「ウーロン茶飲まないほうがいいよ」のシーンは岡崎泰葉Pの間では擦られまくりですね(気になる方は「ウーロン茶 泰葉」と検索すれば無限に見られます)。自分もこのシーンは泰葉のプロ意識の高さと、そして何よりもライバルであって仲間である未央を気遣うという姿勢が見えて好きです。

 なぜこの作品を取り上げるのかというと、ここに描かれている泰葉には仲間がいて仕事を楽しんでいるアイドルとして描かれているからです。初期で紹介したセリフに見られるように、泰葉は誰かと一緒に仕事をしようとしていませんでした。子役時代に、同期はライバルだから隙を見せるな、と教えられてきたからでしょう。しかしこの作品の泰葉には塩見周子と安斎都という仲間がいて、彼女たちと仲間でありながらライバル、ライバルでありながら仲間という関係を築いていました。仕事を仲間と楽しみながら、その仲間と切磋琢磨する。アイドル岡崎泰葉の一つの到達点がこの漫画の中で描かれているのです。

 

 ちなみに私がこの漫画で一番好きなシーンはこちらです。

f:id:kn_imasp:20211117112039j:plain引用:namo.アイドルマスターシンデレラガールズ ニュージェネレーションズ2,スクウェア・エニックス,2015,p99,978-4757539037

 前項で軽く言及した、眼鏡によるオンとオフの切り替えの演出のシーンです。オーディションの直前=オフの時に仲間であるニュージェネの3人にアドバイスを送るシーンでは眼鏡をかけています。しかし周子と都に呼ばれてオーディションに挑む=オンになったこのシーンで眼鏡を外し、ライバルでもある3人に「負けないから」と強きの発言をしています。シンプルにプロ意識の高さがかっこいいし、仲間であってライバル、ライバルであって仲間という構図を眼鏡という一つのアイテムでも表現されているのが好きです。

 

終着点:ワンモアステップ

 さて、こうしてアイドルを続けてきた泰葉ですが、その活動の根源にあるのはファンの人たちを笑顔にしたい、ということだと気がつきます。バレンタインアイプロ=【ショコラフレーバー(•S)】ではファンとの交流を行い、今まで直接会う機会の少なかったファンの人たちと交流することで、ファンのかけがえなさに気がつきます。

 ぷちのセリフには、「アイドルとして、歌とダンスでお客さんに喜んでもらいたいな。輝くステージで、私の歌を届けるの!」というものもあります。ライブを通じてかけがえのないファンに思いを届ける。これが泰葉が見つけた「現在」の泰葉の夢です。この夢を叶えたのがこのカードでした。

 

 まずは特訓前から見ていきましょう。

f:id:kn_imasp:20211118130547j:plain メロンパン…


特訓前は眼鏡をかけてホン読みをしている場面です。ここでも眼鏡をかけることでオフを表現していますね。泰葉は子役の頃から何百何千回と台本を読んできました。そのため、目の前の仕事にしっかりと向き合う姿勢が身についています。しかしここで大事なのはこのセリフ。

「アイドルの自覚を、忘れずに…」

 ホン読みは子役の頃からやっていますが、今行っているホン読みはアイドルとしての演技のためだということをしっかりと自覚しています。子役の経験があっても、今アイドルとして求められている演技が子役時代のそれとは違うことを理解していて、さらにアイドルとしての自覚の強さもある、ということが読み取れるセリフです。子役としての経験とアイドルとしての自覚が読み取れるのが特訓前です。

 

 それでは特訓後を見ていきましょう。

f:id:kn_imasp:20211118130544j:plain いい、笑顔です。


まず目に入るのは表情です。笑顔ですね。笑顔は実は先に紹介した【小さな一歩】の頃からの泰葉のテーマの一つです。子役の頃の笑顔とは、大人に指示された演技のためのものでした。素の、等身大の岡崎泰葉としての笑顔はそこでは求められていなかったのです。しかしアイドルに求められるのは泰葉自身のパーソナリティー。笑顔は泰葉自身の笑顔が求められます。【小さな一歩】にはこんなセリフがあります。

「プロデューサーさんの前では…笑っても、いいですか?」

ファンの前ではなく、信頼できるPの前でだけ笑う、と解釈できます。まだアイドルとしての笑顔が確立できてはいない、ということです。しかし、続く【ショコラフレーバー( •S)】ではこのようなセリフがあります。

「昔よりも…自然に笑えるような」

ファンという自分を支えてくれている存在と直に触れ合ったことで、自然な笑顔=演技ではないアイドルとしての笑顔を取り戻していきます。そして、ワンモアステップの特訓後にはこんなセリフがあります。

「みなさんを笑顔にしたい。そのために、まずは私が笑顔になりますね♪」

 このセリフは前後半ともに注目すべきものです。まずは前半。「みなさんを笑顔にしたい」と言っています。泰葉がアイドルに転身した理由はファンの人たちを切り離すことができなかったからだと言っています。そしてアイドルとして成長してきた今、泰葉は本当にやりたいことを再発見しました。それはファンのみなさんを笑顔にすることです。そのために泰葉は笑っている、と後半では言っているのです。子役の頃は演技としての笑顔しか出来ず、アイドルになってからもなかなか自然な笑顔が出来ずにいました。しかしファンと直に触れ合うことで自然な笑顔を取り戻し、ついには笑顔をアイドルの武器として自在に使えるようになったのです。

 もう一つだけ取り上げたいセリフがあります。

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 泰葉はここで夢を叶えた、と言っています。本項で最初に取り上げた夢ですね。アイドルとして歌とダンスでお客さんを喜ばせる、ということでした。歌とダンス、そして最高の笑顔というVo,Da,Viというアイドルとして求められるものが詰まったステージを披露したことで泰葉の夢は叶いました。

 それでは次の夢とは何なのでしょうか。これを見ていくのが第2章の最初です。「現在」を見つめて今の自分がアイドルとしてやりたいことを見つけ、叶えた泰葉。彼女が次にどのような物語を見せてくれるのか、見ていきましょう。

 

 

第2章 「過去」を受け止めて

 第2章は泰葉が「過去」と向き合う話です。第1章ではアイドルとしてやりたいことやアイドルとしての成長が主として描かれてきました。しかし、泰葉はアイドルになる前から11年間も芸能活動をしてきています。これを泰葉がどう受け止めていくのか、見ていきましょう。

出発点:T.B.チアーズ

 まずはカードイラストを見てください。俺が好きだから見せます。

f:id:kn_imasp:20211118132631j:plain お前、そんな表情が…!

 泰葉が慈しむような表情で花束を抱えていますね。そしてその花束の中には青い封筒に入ったファンレターがあります。泰葉は青が自分の色だと思っています。見ると冷静になれて、大人になりたい自分に合っているからだ、とも言っていますね。それを理解しているファンとは一体誰かというと、子役時代からの泰葉のファンの方でした。俺より長いこと泰葉と関わりがあるなんて…。

 この手紙を貰ったことで泰葉は気づきます。「昔の私…間違いじゃなかった…」と。大人たちの言いなりになって仕事をしていましたが、それでもファンを笑顔にすることが出来ていたと気が付いたのです。これによって泰葉は昔から応援してくれているファンの存在も意識し始めました。「昔からのファンの方にも、これからのファンの方にも…伝えたいな…」というセリフがそれを象徴しています。

 そうして出てきた言葉が、この時の泰葉のあり方を端的に示しています。

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 これ!!!!!ここまでの流れからして欲しかったセリフそのものだったので、初めてこのセリフ見た時は思わず奇声を発してしまいました。そう、アイドル岡崎泰葉は転身してからの泰葉だけではないのです。第1章時点でも子役の経験を生かしていたりと、その兆しはありましたがファンからの手紙でそれに気付かされるのは、ファンを誰よりも大切に思っている泰葉だからでしょう。泰葉が過去の自分を受け入れた瞬間でした。完璧です。モバマス最高ォ〜!!

 

 特訓後のセリフでは色について触れています。先程触れた通り、泰葉は自分に似合う色は青だと言っています。冷静になるための色としての青でしたが、ここでは新たな考えを示しています。

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 感情、という言葉が出されています。笑顔は表情でしたが、その大元になる感情を思いっきり表現してもいいんだと、考えるようになりました。この色についての考え方は後々さらに変化していくので覚えておいてくださいね。

 

番外:ガーリーポッシブ

 泰葉を語る上で欠かせない要素は、GIRLS BE NEXT STEPというユニットの存在です。関裕美、白菊ほたる、松尾千鶴、岡崎泰葉の4人から構成されるユニットです。

f:id:kn_imasp:20211119112740j:plain ここ好き

 このユニットについて語り出すと、それはそれでまた一つ別のブログ記事が出来上がってしまうので詳細は割愛させていただきます。今回は、泰葉にとってこのユニットがどのような意味を持っているかについてをお話しします。

 泰葉はこのユニットを組むまでにもユニットとして活動することは何度もありました。しかしそのユニットはいずれもPから与えられたもので、自発的に活動していたわけではありません。ところが今回のユニットは、GIRLS BE(ほたる、裕美、千鶴の3人から成るユニット)のライブを見た泰葉が自分から加わりたいと言ったのです。大切なかけがえのない友人であると同時に、アイドルとして負けたくないライバルでもある3人と一緒にユニット活動をすることで、自分が忘れていた仕事を楽しむこと、そして年の近い友達との交流など、子役時代には経験できなかったことができると考えたのです。

 ただの人形としてではなく、自分の意思を持つアイドル岡崎泰葉として行動した結果できたのがこのGIRLS BE NEXT STEPというユニットです。泰葉にとっては可能性の塊のユニットです。だから泰葉にとってこのユニットが特別で重要な意味を持っている、ということです。そのうちGBNSについての記事も書きたいなあ…ハッ!

 

通過点:蒸機公演 クロックワークメモリー

 過去のファンから手紙を受け取ったことで過去の自分含めてアイドル岡崎泰葉だと自覚した泰葉ですが、それを表現する場が与えられました。それがこの『蒸機公演 クロックワークメモリー』です。以下ストーリーのネタバレ注意。

 汚染された地上から逃れた人類が築いた地下都市から抜け出して、地上で花を咲かせることを夢見るヨーコ。そんな彼女が拾った旧式オートマトン、ヤスハは、ヨーコと過ごすうちに自我を持ち始め、ついにはヨーコの夢を継いで木々が芽吹き花が咲き乱れる地上を再現した。というのが大まかなあらすじです。詳しくはモバマスを開いてイベントメモリーへ!!

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 この物語はおそらくテリー・ギリアム監督の映画『Brazil』(邦題:『未来世紀ブラジル』)を下敷きにしていると思われます。もし関係なくても解釈するうえで助けになることは間違い無いので、蒸機公演が好きな方はAmazon Primeとかで観れるのでおすすめです。なぜ突然これを紹介したのかというと、私はこの映画を見たことで新たな着眼点を得ることができたからです。

 いずれの物語もキーワードは「夢」です。これは寝ている時に見る夢や白昼夢など、空想としての夢と同時に、何か叶えたいものなどを指す方の夢を意味しています。蒸機公演における「夢」とは、ヨーコからヤスハに受け継がれた地上で花を咲かせるという夢と同時に、ヤスハが地上で再生し続けている、都市でのヨーコたちとの思い出=ログの再生という、人間でいうところの回想にあたる夢です。この二重の夢が物語に厚みを持たせると同時にヤスハと岡崎泰葉との類似性を示しています。

 ヤスハはログを見直す(=夢を見る)ことによって夢が何かを思い出し、孤独で厳しい地上の世界でも種を蒔き続けることができました。岡崎泰葉も同じです。過去を見つめ直し、自分は何がしたかったのか(=夢)を思い出し、それによってアイドルとして花を咲かせることができたのです。何十年でも、何百年でも、年千年でも夢を叶えるために歩みを止めないヤスハの姿に、11年という長きにわたって芸能界で生きている岡崎泰葉の姿が重なって見えます。

 蒸機公演の素晴らしいところは、これが芝居を通じて展開されたことです。泰葉は元子役。演技力の高さはアイドルの中では群を抜いているでしょう。もちろんそれは過去の経験からきたものです。夢(=ログ)を見ることで歩き出すヤスハを、過去に磨いてきた武器でもって泰葉が演じる。二重の意味で過去を受容しているのがこの蒸機公演なのです。この文脈以外でも色々と語りどころはありますが、とりあえず第2章の筋に関係ある部分を抜粋しました。ぜひ皆さんも読んでみてください。

 

終着点:あの日の私を受け止めて

 過去を見つめ直した泰葉でしたが、そもそも第1章の時点で彼女には明確な目標が生まれていました。それは、ファンの人を笑顔にすること。そして子役時代の自分のファンから手紙を手紙を貰ったことで、ファンとは、過去のファン+現在のファン、というように捉え方が変わりました。そんな泰葉が次にやること。それは全てのファンの人を笑顔にすることです。アイドルになる前から支えてきてくれた人たちや、アイドルになってから泰葉を好きになってくれた人など。大事な、大事なファンの人たちにありがとうの気持ちを伝えたい。それが実現したのがこのカードのライブでした。

 

 まずはカード名の【あの日の私を受け止めて】をから解釈していこうと思います。「あの日の私」とは誰でしょうか。これは2通りの解釈ができると思います。

 まず一つ目は過去の自分です。これはもう見てきた通りだと思います。子役として人形みたいにやってきて、でもそれでもファンの人を笑顔にできていた、完全に間違いではなかったのだと、そう過去の自分を承認したということですね。

 もう一つ、私が考えているのは、アイドルにならなかった世界の自分です。泰葉は時折、「普通の女の子」としての自分を話題にすることがあります。例えばシンデレラヒストリーなどでは、ライバルが引退して普通の女の子に戻ると宣言するところや、ショッピングモールで友達と買い物を楽しむ自分と同年代の女の子たちを見て、自分にもそのような道があったと考えています。実際、アイドルになる直前、芸能界を引退して普通の女の子に戻るという道も選択肢としてあったようです。それでもアイドルになったのはファンの存在を忘れたくないからで、その話はもうしましたね。今回のカードではそのような話が再度出されています。

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この羨ましいという感情の向き先は、当時の泰葉が手に入れることのできなかった「普通の女の子」としての幸せを享受していた同年代の女の子たちです。なぜ、このカードで突然普通の女の子の話をしだしたのでしょうか。

 それは、このカードの特訓前の舞台が泰葉の故郷である長崎だからです。特にここは稲佐山の展望台で、新世界三大夜景の一つに数えられるほど有名なスポットです。f:id:kn_imasp:20211202163747j:plain 夜景よりもお前がキレイだぜ

夜景が綺麗だということは、デートスポットであるということです。ステレオタイプ的な発想でいけば、女の子の幸せは綺麗な夜景を恋人と見ることではないでしょうか(この発想を絶対化する意図は毛頭ありません)。

 泰葉は芸能界入りしてから東京に引っ越しています。そのため、故郷の長崎で年頃を過ごすということは、芸能界に入らなかった世界線でしか起こり得ません。しかし、今回このカードでP(信頼できる男性)に連れられて展望台に訪れて、その「普通」の幸せとはどのようなものなのかを味わうことができました。

 しかし、泰葉はその幸せを味わった上で、「今はもう、(普通の女の子のことを羨ましいとは)思いませんけど」と述べています。その根拠となっているのが「舞台の光もやっぱり好きで」という言葉です。舞台の光もいくつかの意味が考えられて、舞台からの光と捉えれば泰葉がずっと大切にしてきたファンの人たちの存在をやはり大切に思っていると、舞台で放つ光と捉えればアイドルとして輝く自分を肯定している、と考えることができます。個人的にはこの両方が泰葉の言う光だと思っていて、だからこそ泰葉は普通の女の子としての生き方ではなく、アイドルとして生きていくことを選んでいるのだと思っています。このことを再確認できたのがこのカードで、それによってアイドルにならなかった世界線の自分という生き方と向き合えたのではないか、と思っています。

 

 特訓後の方に話を移したいと思います。まずはイラストを…。

f:id:kn_imasp:20211204002239j:plain 泰葉…キレイだぜ…

 まずは表情について。泰葉の表情については【ワンモアステップ】の項でも少し触れました。子役時代の泰葉にとって表情とは演じるもので、アイドルになってからも自分らしい、ありのままの笑顔ができませんでした。そこから自分の笑顔を取り戻し、アイドルの武器の一つとして使えるようにまで成長したのが【ワンモアステップ】でした。

 そこからこのカードでは、泰葉は表情についてこのように言っています。

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 自分で自分の感情をコントロールできていない様子が読み取れます。しかも泣いています。泣くということを、気持ちがぽろぽろとこぼれ落ちる、と表現しています。感情は、コントロールしたり、武器として使ったりするためのものではなく、泰葉の本心から溢れ出るものとなったのです。心を取り戻したヤスハの姿も重なって見えますね。

 この感情は、泰葉のファンへに対する思いの大きさに起因しています。このイラストの舞台はライブ会場です。そのライブのMCの場面が描かれています。【T.B.チアーズ】から泰葉が望んできた、ファンの人に直接今までの感謝を伝える場としてこれ以上無いでしょう。自分の現在と過去を見つめ直した時、泰葉にとってのファンの存在の大きさがくっきりと浮き出てきました。そんなファンと改めて向き合う場で、泰葉は心からの感謝を伝えることができたからこそ、涙が溢れて止まらなかったのでしょう。文脈最強カード。

 

 これはおまけ情報ですが、このカードの衣装は初期Rのリメイク的なものになっています。初期Rの特訓後がこちら。

f:id:kn_imasp:20211204162229j:plain まだまだ笑顔が…

 俺の担当はどうしてこう、揃いも揃って初期Rのリメイクを…。いや、めっちゃ好きですが。この衣装のポイントは、あしらわれている花と衣装の色です。

 まずは花について。この花は庭石菖という花です。実は【ワンモアステップ】の衣装にも同じ庭石菖の花があしらわれていて、節目節目で泰葉を象徴するようなアイテムとして描かれています。庭石菖の花言葉は、「繁栄」「豊かな感情」「煌めき」とどれも泰葉とは切っても切れない要素となっています。これが初期の頃から描かれていて泰葉の行く先を示唆していたのは中々ニクい演出だと思います。

 衣装の色は青を基調としていますが、これは泰葉のイメージカラーです。【T.B.チアーズ】の項でも見た通り、泰葉は青を冷静さをもたらす色として自分に相応しい色だと言っていました。それと同時に青でも感情に任せることが大事なこともある、と言っており、今回は強い感情が全面に出ています。この色、よく覚えておいてくださいね。

 

 特訓前後の様々な要素から泰葉のファンへの思いの強さが表れており、それと同時に過去の自分を今の自分の糧として受け止めることができた、というのがこのカードです。ここで過去と向き合うのは一区切りで、次からはやっっっとスシローの方に話を進めていきます。(ここまで一万字書くのに1ヶ月)

 

 

第3章 「未来」を抱く

 ここからようやくスシローの話に入っていきます。第1章や第2章よりもボリューム控えめですので、あともう少しだけお付き合いください。

 今回のスシローは、泰葉がファンミーティングイベントの仕事を悩みながらもこなしていく、という内容です。悩みの内容は、ファンミーティングでの質問にどう答えるか、というものでした。その質問は、「これからどんなアイドルになりたいですか?」というものです。「過去」と「現在」とを見つめ直したタイミングで、「未来」へのビジョンを考える契機となったイベントでした。この問題に対して泰葉がどのようにして答えを出していったのかを細かく見ていき、担当Pとしてどんなアイドルになってほしいのか、泰葉の「未来」も考えてみようと思います。

随所に見える第1章と第2章

 泰葉が答えを考えていく過程には、今まで泰葉が辿ってきた道がはっきりと見て取れます。いくつかピックアップして話していこうと思います。

 

 まずは冒頭の劇のシーンから。

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共演した子役の子に、仕事が楽しいかを尋ねています。幼い頃の自分がこの子役の子に重なって見えての発言だと思います。共演者は弱みを見せないようにしなければならない競争相手、としか考えていなければ、周囲を気遣うことはありません。成長が感じられますね。

 さらに、このシーンの後に監督と話すシーンがあります。その監督は泰葉の子役時代にも仕事で関わったことがあるそうで、泰葉が長い間芸能界で生きてきたことを匂わせていました。

 

 この演劇は、泰葉の人生を示唆しているような内容になっていました。

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泰葉が演じるキャラクターは、高校を卒業してから音大に進むことになっていました。しかし、蓮実演じる後輩が、本当は進路に迷っているのではないか、と指摘されて反論している場面です。

 泰葉も自分が演じるキャラクターと同じように、進路に迷っています。そしてその姿は今に限らず、アイドルに転身する直前の泰葉の姿とも重なってきます。泰葉がここのシーンでセリフを詰まらせてしまったのは、そのような理由からでしょう。自分がなりたいものもわかっていないのに、それを語るキャラクターを演じるという難しさがあったのだと思います。

 この劇については後ほど、もう一度だけ触れていくので、泰葉と泰葉の演じるキャラクターに重なる部分がある、ということを覚えておいてください。

 

 次に泰葉の学ぶ姿勢についてです。初期Rの項でも触れた通り、アイドルなりたての泰葉はPから学ぶことなんて何もない、と言ってきます。こわい。ところが今回のコミュでは、泰葉は同僚アイドルの働きぶりを外から見ることによって様々なことを学ぼうとしています。

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例えばこのシーン。蓮実に連れられてスイーツのイベントに行くのですが、そこで接客をこなす同僚アイドルたちの姿に感銘を受けてこのように言っています。他にもバラエティー番組に出演して、そこでもバラエティーをでの振る舞い方などを共演者から学ぼうとする姿勢が見られました。学びの姿勢一つ取ってみても泰葉の成長が垣間見えます。

 

 続いては、悩みを瞳子さんに打ち明けてからのシーンです。

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これ、まさに漫画『ニュージェネレーションズ』岡崎泰葉の進化系なんですよね。アイドルとしての在り方を考えた時に、「ひとりでするものじゃない」という言葉が出てくるのは、泰葉がそれほど仲間/ライバル、仕事で関わるスタッフ、そして何よりもファンの人たちを大切に思っているからこそだと思います。先程の学びの姿勢とも共通するのですが、アイドルとして他者と関わりを深く持つようになったことで泰葉の人生観が大きく変わっていったことが読み取れます。

 

 この瞳子さんとの話が終わってからのシーンについても触れなければなりません。

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ここで泰葉は自分がやってみたいことを提案してきています。ここに泰葉の仕事への向き合い方の変化が見て取れます。

 子役時代は大人の望む自分を演じてきて、仕事に自主性はありませんでした。アイドルに転身してからも、与えられた仕事については非常に意欲的に取り組んではきましたが、このように自分から何かを提案してくれる場面はあまり無かったように記憶しています。しかし、今回泰葉は自分が仕事でやりたいことを持ち出してきました。この主体性こそが人形ではない泰葉の行き着く所だと考えており、このような提案をされた俺Pさんはニッコニコでした。ゲーム中のPさんも泰葉の提案を快諾していて思わずにっこり。

 ここまで強い思いがあるのは、この仕事がファンミーティングであることも影響していると思います。見てきたように、泰葉にとってファンの存在はかけがえのないもので、泰葉がアイドルとして活動している理由にも大きく関わってきています。そんなファンの皆さんと直接会ってお話できる数少ない機会だからこそ、泰葉も普段にも増して気合が入ったのでしょう。

 

 最後に衣装について軽く喋らせてください。

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 何回見ても良いイラストだなあ…。ではなくて、この衣装の色に注目してください。青じゃないんです。確かに【キラメキタイム】の衣装も青ではなかったのですが、今回はコミュの中で衣装の色についての言及があったのでわざわざ取り上げています。

f:id:kn_imasp:20211206195003j:plain 補足:【キラメキタイム】めっちゃ好き

 GBNSのメンバーとファンミーティングについて話をしているとき、泰葉は青色の衣装も綺麗だけど、と言っていました。衣装を自分の意思で決めるとき、当然その中には青いものが選択肢としてあがっていたわけです。しかし、泰葉は青ではない色を選びました。ここに、泰葉の色に対する考え方が表れています。直近のドリフでスチームカラーズとして登場した際に、泰葉はこんなセリフを残しています。

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「たくさんの色」というのがキモです。泰葉は役者として様々な人間を演じてきただけでなく、アイドルとしてたくさんの仕事をこなしてきました。それによって泰葉の内側には青だけでは表現しきれない、たくさんの色がついていて、それを表現する、と泰葉は言っているのだと思います。このような解釈に沿ってスシローの泰葉の衣装を見ると、これはファンの人たちに今まで見せてこなかったような泰葉の一面を見せるという、非常にチャレンジングな決断だったのだと思います。

 

 このコミュでは様々な場面から泰葉が過去からどれほど成長してきたかを見ることができました。その上で泰葉が出した答えがこれです

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まだなりたいアイドル像はわからないけど、それでも過去から現在までを通じてわかったこと、「みんなを笑顔にしたい」ということ。その気持ちを大切にしてこれからもアイドルとして活動していく、という所信表明でした。これからなりたい自分は一緒に見つけていこうね、というとても泰葉らしい言葉で将来についてを語っていました。

 では泰葉は結果的にどのような将来像を持つのでしょうか。考える材料になりそうな要素をもう一つ挙げ、その後に個人的願望も盛り込んで考えていこうと思います。

 

憧れが憧れを生みだす=次世代に未来を見せる

 今回のコミュの中で強調されていたのは、泰葉に憧れる人々の存在です。アイドルがアイドルを生み出し、そしてそのアイドルが次の世代のアイドルの卵の憧れとなる。そのような構図が今回のコミュの中だけでも3回もありました。

 まず1人目は劇に登場した、蓮実が演じる後輩キャラクターです。

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この人物は、泰葉のフルートの音色に憧れて学校を決めたと話しています。先にも述べた通り、泰葉の演じる人物と泰葉本人には近しい要素がたくさんあり、このキャラクターが泰葉の人生の暗喩となっています。そのことがこの直後のシーンで強調されます。

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 これは、先に紹介した子役の子(泰葉に仕事が楽しいかどうか尋ねられた子)が、泰葉に憧れて子役を始めた、ということが判明するシーンです。この子役の子の憧れの向き先は子役岡崎泰葉であることは留意しておかなければなりません。

 泰葉に憧れる人物の3人目はファンミーティングに来てくれたファンの子でした。

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このブログで何度か使用したこのカードのモブロリちゃんですね。「泰葉ちゃんみたいになりたい」とは憧れの究極系であって、この子がファンミーティングの中でも強調して描かれていました。そして彼女が憧れているのはアイドル岡崎泰葉であって、この点が子役の子との違いであることも重要です。

 他にも泰葉に憧れる人物というのは示唆されており、例えば営業コミュの「Girls be little step!」ではGBNSに憧れる女の子が登場していました。

 このようなことからも泰葉の将来像が一つ見えてくると思います。今までのまとめと併せて考えていこうと思います。

なりたい自分は?

 ファンを笑顔にすること、そして憧れの対象になること。これが泰葉のやってきたことです。私はアイドルが対外的に何かを残すとすればこの二つが重要であると考えています。例えば、長富蓮実などは憧れが強く描かれています。彼女が憧れるのは昭和レトロなアイドルたち。今でも「伝説の」と枕詞のつく彼女たちも、ファンを笑顔にして、そして多くの少女たちの憧れの対象になってきました。

 泰葉もトップを目指していく余地があるのではないか、というのが私の考えです。泰葉には様々な色=武器があります。そして子役時代から培ってきた高いプロ意識に、芸能界にかける執念の強さもある。さらに自己実現としてアイドルを誰よりも楽しむことができる。原動力もそこに向かう手段も、泰葉はもう手に入れているのです。泰葉を象徴する花である庭石菖の花言葉の「繁栄」が向かう先としても、トップアイドルはふさわしいのではないでしょうか。

 泰葉は初期Rで「誰にも負けたくないから…」と言っていました。これこそがアイドルになったときの偽りのない彼女の思いであり、彼女を突き動かしてきた原動力でした。今は原動力は変わりましたが、この思いが残っているのならば泰葉はトップアイドルになれると、担当Pとして思っています。

 

 ただし、これはPからの願望であって、このピュグマリオン的欲望を泰葉に具体的に向けることはありえません。泰葉は人形のように言いなりになって動いているのではなく、自分の意思を持って活動していきます。私の願望抜きに泰葉には行動していってほしいですね。もし泰葉が道を踏み外そうとしたら、一度立ち止まるように諭して、それでもそうしたいのならそれを尊重する。それくらいのスタンスです。

 泰葉がどのような未来を抱くことになるのか、これからの活躍に期待して結びとします。

 ここまでお付き合いくださりありがとうございました。岡崎泰葉を何卒よろしくお願いします。泰葉の2周目SSRはよ。