空模様は、みぞれ雪

アイドルマスターの話をします

レッド・ソール所感

 初投稿です。

 レッド・ソール。みなさんお聴きいただけたでしょうか。イベントコミュはお読みになったでしょうか。素晴らしかったですよね?ね????

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 私はイベランをしたので、初日に全部回収しました。ちなみに最終順位としては50傑入り、スコアも3桁で余裕の金トロでした。やりきった感がすごい。あとアタポンはもうええ。

 美優さんにとって18ヶ月ぶりのイベントということで、発表の段階から期待に胸を膨らませまくってイベントに臨んだのですが、率直に言って大満足でした。今回は、レッド・ソールのイベントのどこがどう良かったのかについてお話ししたいと思います。

 

注意

・イベント「レッド・ソール」のネタバレを含みます。未読の方は先にイベントコミュを読んでからご覧いただけると幸いです。

・三船美優というキャラクターに対する個人的な解釈がふんだんに含まれています。そうじゃねえだろ!という意見もお待ちしております。深め合いましょう。

・文が長いです。駄文をつらつらと申し訳ありません。

 

三船美優の物語の第一章が完結した

 今回のイベントをもって三船美優の物語第一章は完結したと言っても過言ではないと思います。今までの道筋を見れば、ここが一つの終着点だと感じました。

 まずは美優さんの物語とはどのようなものだったのか、アイドルコミュやカードコミュなどのコミュからの視点と、Last Kissからの視点とで考察していこうと思います。その上で今回のイベントがどのようなものだったのか、美優さんPの視点からみていきます。

 

1人で立てるようになるまでの物語

 まずはコミュから美優さんの物語を紐解いていきます。

 物語は美優さんがアイドルにスカウトされるところから始まります。仕事も人付き合いも上手くいかず、その状況を変えようと背伸びして買ったハイヒール。それが折れて立ち上がれなくなってしまったところをスカウトされ、美優さんはPに支えられながらステージに立つ決断をしました。

 美優さんはPに支えられながらステージに立ってきました。Pに寄りかかって、Pが持ってきた仕事をする。今までに美優さんはコスプレ紛いの衣装を着る機会が多かったのですが、それでも拒絶することなくやり続けたのは、それがPの持ってきた仕事だからでした。もちろんこれはPへの信頼の表れなのですが、それと同時にPへの依存といっても差し支えない状態です。

 しかし、この状況が明確に変わったコミュがありました。それは『印象』のコミュです。美大生に自分を絵画に描いてもらう、という内容のコミュです。しかし出来上がった絵画は美優さんの自己評価とは大きく異なるものでした。自分には誇れるような色などない。そう思い込んでいた美優さんの考えとは裏腹に、美大生の描いた水彩画の中の美優さんは豊かな色彩に溢れていました。今までに経験してきたコスプレ紛いの仕事も、美優さんの中の色を増やすことに一役買っていた、ということです。

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 ただただ盲目的にPの持ってきた仕事をこなすのではなく、その仕事を経験することで自分の中にどのような魅力が付くのか。そのことについて自覚的になったという点でこの『印象』のコミュは一つのターニングポイントとも言うべきコミュでした。

 この後に追加されたデレステSSR[教室の白百合+]のルーム内セリフでは、26歳にもなって制服を着るというわけのわからない仕事によって、自分の中の色を増やすことができたと自ら話しています。

 

 Pに盲目的に従うのではなく、自分でもどのように仕事をして、それによって何を得られるのかを考え、そうしてアイドルとしても成長するようになる。そこまで成長した美優さんが次に見せる姿はどんなものなのか、と期待していたところにレッド・ソールのイベントが来ました。続きはLast Kissのお話の後に。

 

ただの失恋ソングではなく…。



 CINDRELLA M@STER 050といえば…そう、みなさんご存知Last Kissですね。f:id:kn_imasp:20220106114944j:plain

 このLast Kiss、歌詞の字面だけを追えば普通の失恋ソングの文面なのですが、それと同時に美優さんの決意が込められた歌でもあります。その決意とは何なのかを説明します。

 Last Kissは「私」と「あなた」が別離する話です。では、この「あなた」とは誰でしょうか?歌詞の中で「あなた」は「私」に手を差し伸べています。差し伸べられた手を取るという行為は、美優さんにとっては一般とは異なる意味があります。それは、アイドルとして踏み出すことを決めるという意味です。ヒールの折れた聖夜にPの手を握り返してアイドルとして立つことを決めた、ということについては先述の通りです。つまり、手を差し伸べた「あなた」をPとして解釈することも可能だということです。

 この解釈に沿って歌詞を読んでみましょう。Pに好意を寄せている節のある美優さんの失恋ソング、と読めないことはないですが、それよりもコミュなどから読み取れる情報に符合する解釈があります。

 それは、Pに甘えたい気持ちを断ち切って1人で立とうという決意の表明としての解釈です。恋愛感情に似たような、依存したい、甘えたいという感情を抑え込み、1人で進めるようになろうという美優さんの強い決意表明の歌を、彼女の雰囲気にマッチする失恋ソングの文脈の裏に乗せている。それがLast Kissだと私は考えています。

 

 ここで歌詞ではなく、ライブの話をしようと思います。Last Kissがライブで完成されていくと同時に美優さんの物語の針も進んでいることが実感できる、という話です。

 Last Kissがライブで初披露されたのはSS3Aで、そこから6th、7thと今までに3度も披露されてきました。こんなことを言ってしまうと怒られるのかもしれませんが、最初にSS3AのLast Kissを見た時は、原田さんが1人でステージに立っている感動と同時に、最後までちゃんと歌いきって踊りきれるのかというハラハラもありました。

 しかしパフォーマンスは回数を重ねるごとに向上し、直近の7th名古屋公演のLast Kissは非の打ちどころの無い、最高のパフォーマンスでした。このLast Kissを見る私の中には不安など一切無く、このような瞬間にも美優さんが1人で立とうとしてきているのかな、と感じます。

 

 美優さんが1人でステージに立とうとして、現実のライブでもそれを実現しつつある。そのような形でLast Kissは一種の完成を迎えようとしています。そのような状況で、美優さんは次にどのような曲を歌うのだろうか、と毎日妄想に耽っていました。そこで告知されたのが今回のイベント。次項からそのお話をしていきます。

 

自分を誇り、自分の靴で歩いていく物語

ユニットのコンセプトについて

 さて、今回のイベント曲である『レッド・ソール』を歌唱したユニットである『flamme martini』ですが、このユニットのプロデュースを企画段階から行ったのはPではなく、自身もメンバーとして参加している桐生つかさでした。ユニットのメンバーを招集するにあたって桐生つかさが重視したものは、芯の強さです。

 では、彼女は美優さんのどこに芯の強さを見出したのでしょうか。物腰柔らかで流されやすいようなイメージが先行しがちな美優さんの中に芯の強さを見出すのは、一見すると難しいように思われます。

 桐生つかさはAfter20で美優さんと共演した際に、美優さんの中にある強さを見出しています。社長業での問題を美優さんに解決してもらった桐生つかさは、美優さんを秘書としてスカウトしようとします。しかし、その後のステージでつかさはアイドルとしての美優さんに圧倒されます。

 アイドルと社長という二足の草鞋を履くつかさにとって美優さんは、OLの道を辞めてアイドルをしているという過去を否定的に解釈されうる人物でしょう。しかし実際の美優さんは、OL時代のスキルとアイドルとしての魅力をどちらも高いレベルで兼ね備えたアイドルでした。

 美優さん自身がアイドルになる以前の自分を肯定することはあまりありませんでした。しかし、桐生つかさとの共演を経て、歩んできた過去があるからこそ自分の中に様々な色がついていることを確認したのです(あくまでもその話はAfter20の世界線なので、やっていることは『印象』と同じですが必要な話だったと思います)。そこに、美優さんの中の揺るぎない強さが見て取れます。

 そのような魅力を知っているつかさだからこそ、今回『flamme martini』を結成するにあたって美優さんに声をかけたのでしょう。しなやかで芯のある、流されない強さ。美優さんにとってのそれは、アイドルになる以前からの26年で培ってきた様々な経験とそれに基づくスキル、そしてアイドルになってから研鑽を積むことで手に入れた様々な魅力とそれを自覚することによって身についた自己肯定感でした。 

 

 ちなみに、今回のユニットの名前にも使われているマティーニというカクテル。カクテルの王様という異名をもち、カクテル言葉は「棘のある美しさ」です。毅然とした、堂々たる美しさを形容するにはこれ以上無いカクテルだと思います。ぜひ美優さんとマティーニで一杯やりたいですね。

 

 今回のイベントでは、美優さんの中にある強さについてスポットライトがあたっていました。ここからは具体的にどのシーンでそれが出ていたのかを見ていきます。

 

第3話『full up』について

 一番まとまっていてわかりやすく読みやすいのは、イベントコミュ第3話『full up』です。話としては、つかさに任せられたユニットの広報周りの仕事を美優さんがどうこなすか、という内容です。様々なアイデアが湧いてきて、その中からどれを選択するべきなのか迷い、それでも最後には自分でどれを選ぶのかの決断を下す、というオチになります。

 まず仕事を引き受けるシーン(これは第3話ではないですが)にて、美優さんは自ら名乗りを上げて広報関連の仕事を引き受けます。それも、OL時代のノウハウが活かせるかもしれない、という理由からでした。ここに美優さんは過去を受け止め、それも自分の力になっていることに自覚的だということが表れています。過去の自分を全否定していた昔の美優さんではとても考えられなかったことで、私はこの時点で感涙しました(比喩や誇張ではなく物理的に涙が出ました)。そして最後にどの案を決めるかの決断を自分で下す、ということも自分に最低限の自信がなければ不可能です。それを当たり前のこととしてこなす美優さん、成長しましたね…。

 

 ところで、このコミュタイトルの『full up』とは何を指しているのでしょうか。OP~EDのコミュタイトルをつなぎ合わせることで、『flamme martini』という一杯のカクテルが出来上がる、というのは有名(?)な話ですが、あえて「full up」という言葉を選び、そこに美優さんを主役としたコミュを配置したのにはそれなりの意味があるはずです。「full up」という言葉は、何かを満たすというようなニュアンスですが、一体何が満たされたのでしょうか?

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 私は、美優さんの充足感についての「full up」だと思っています。その根拠として、星輝子との会話があります。まずアイドル仲間と気軽に会話ができる、ということ自体が初期の美優さんからしたら考えられないことでした。口下手で人付き合いが苦手な美優さんにとっての理解者はPくらいでした。しかし、美優さんはアイドル活動を通じて様々なアイドル仲間ができてきて、交友関係が広がっていきました。今まで絡みが無かった星輝子と普通に会話できているのも、その積み重ねのおかげでしょう。そう言った意味での充足感が一つ。

 さらに会話の中身として、美優さんは「やりたいことが多くて……。」と発言しています。アイドル以前の美優さんは「やるべき」ことに押しつぶされ、アイドルになってからの美優さんはお仕着せの仕事をこなすことが多かったです。その美優さんが主体性を持って「やりたい」と思えることがたくさんある。それが充足感でなければ、どこに充足感という言葉が当てはまるのでしょうか。「full up」とは美優さんの心を埋める、という意味でも捉えられると考えています。

 

SR(+) [レッド・ソール] 三船美優(+)について

 続いては報酬カードのセリフなどについて見ていこうと思います。こちらは割と細かい要素を回収することになるので、雑然とした感じになってしまうことはご了承ください。

 

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 まずは特訓前の親愛度演出とカードコミュからです。ここでは美優さんとPとの関係についての発言があります。普段からPに寄りかかりがちなことを美優さんは今回のユニット活動を通じて感じました。しかし、美優さんはその関係を変えたかったと言っています。ただ自分が寄り掛かるだけでなく、Pが認めてくれることを原動力として自らの意思で歩み続けることを決心しています。完全にLast Kissですわぁ…。ご褒美をせがむ、というのもどこか「それでもまだ好き」な感じが出ていて良いですね。

 ただ、私は美優さんには頼られたい!!と思っているので、美優さんが完全に離れていってしまったら泣いてしまいます。今回のコミュだけでも何度袖を濡らしたことか……。

 

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 次に、特訓後の親愛度演出についてです。ここでは、今までの仕事は全て与えられたものだった、と今までのアイドル活動を振り返っています。その上で、今までの仕事は例えそれが与えられたものだとしても覆されることのない足跡であって、それこそが自分がアイドルとして頑張った証。それが自分を誇るということだと考えるようになっています。

 自分を否定していた美優さんが、それを受け入れ、肯定するようになり、そしてついにそれを誇れるようになった。今までの積み重ねの全てが美優さんの成長の糧になっている、ということです。これからも美優さんは成長し続ける、そう予感させるセリフでした。

 

 続いて、特訓後のイラストについて少し話します。本当はホームやルームのセリフについても何か言おうと思ったのですが、内容が重複する箇所が多いので割愛します。

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 まず目が行くのは深紅のドレスを纏った美優さんと肇ちゃんでしょう。この組み合わせといえば、『Noctutne~For SS3A Rearrange Mix~』ですね。誇張抜きで2,000回くらい聴いてます、良すぎるので。歌詞も歌い方も非常に情熱的で、そのような歌で共演した2人が赤い薔薇をモチーフにした衣装で同じ画角に収まるのには、感じ入るものがあります。あと単純に顔が良すぎる。本当に。

 衣装について掘り下げますが、注目すべきは曲名にもなっている赤いハイヒールです。ハイヒールは、美優さんの人生そのものです。人生に挫折した夜、折れたヒールからガラスの靴を履くアイドルに転身したことが象徴的です。この赤いヒールを目立たせるために、美優さんのドレスには右脚部分に深いスリットが入っています。靴という、全身から見れば比較的目立たない部分でありながら、スリットを入れたドレスに真っ赤なヒールを鳴らすことで、自分の存在をアピールする。そのことに特化した衣装だと言えるでしょう。

 さらに衣装について気になるのは、この赤という色です。美優さんはモバの初期カードから赤い衣装に何かと縁があります。デレステでも最初に実装されたSSRは深紅のドレスで、[ルージュクチュール]という名前を冠しています。さらに、モバの初期カードをリメイクしたような3枚目SSRの[聖夜の約束]。節目節目で美優さんは赤いドレスに身を纏っています。赤について、美優さんはこのようにコメントしています。

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「赤は…嫌いではありません。私にひそむ情熱を、引き出してくれるようで」

 これは[聖夜の約束]のホームのセリフからの引用なのですが、その衣装にあしらわれている赤いポインセチア花言葉は「私の心は燃えている」であり、美優さんの中にある情熱が表現されているようです。他にも[ルージュクチュール]のライブ開始時のセリフなど、そのことについての言及は数多くあります。以上のことから今回のレッド・ソールの衣装もやはり、美優さんの情熱を表現した色合いであると考えられます。

 他に気になるのは、背景に大きく映り込んだ電車です。電車とは、敷かれたレールの上を移動するものです。美優さんも会社勤めしていた頃はよく乗っていたでしょう。しかしこのイラストでは美優さんは電車に乗っていません。この対比の構造によって、美優さんが自分の足で、自分の決めた道を歩いていくのだというメッセージが際立ちます。そこに美優さんの凛々しい表情が加わることで、他人の敷いたレールではなく、自分の道を進むのだという思いの強さも表現されています。

 

歌詞について

    最後に楽曲、特に歌詞に注目したいと思います。音については完全に門外漢でからっきしなので、今回は触れません。

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    まず歌い出しが桐生つかさから始まるのですが、これ製作側が気に入ってるんですかね。Life is HaRMONYに近しいものを感じます。今回のユニットを組むにあたってLiHがつかさに与えた影響はOPコミュからも読み取れます。Life is HaRMONYも私が個人的に好きな楽曲の1つなので満点ですね。歌い出しの歌詞の「夜のメトロ」については前項で  触れたので特にそれ以上のことはありません。

 今回イベントで聴けたものはゲーム版ということでフルになって歌いわけで変わる可能性も否めないのですが、とりあえず今回のバージョンで美優さんが歌っていた箇所で文脈が強い歌詞は、「自分の靴で 歩いていくの」という部分です。ヒールの折れた靴でもお仕着せの靴でもなく、自分の選んだ靴で歩いていくという、自立した強い意思を感じます。

 他に気に入っている歌詞は「誰にも靡かない 私の思うまま着飾って ヒール鳴らせ」という部分です。 これも先述の内容とかぶる部分が非常に多いのですが、確固たる自分という存在を前提としているのが好きです。私が物事の良し悪しを判断してそれに基づいて行動する、という点では『full up』の内容に通ずる部分もありますね。そしてそのような自分という存在を音を鳴らしてアピールするという、今までの積極性の無かった美優さんからは決して出ることのないような歌詞ですね。

 

これからの三船美優はどうなるのか?

 さて、ここまででこのイベントまでの美優さんについての大まかな振り返りができたと思います。しかし、三船美優というキャラクターの根幹に関わりながらも触れられなかった事項があります。それは、美優さんがこれからどのようなアイドルを目指すのか、ということです。

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 [こころ、酔わせて]のカードコミュで、美優さんは人を導くのではなく、想いを受け止めて寄り添えるようなアイドルになりたい、と言っていました。佐藤心が太陽のようだとすれば、自分は月のようなアイドルになる、と。これは彼女の活動の基本方針になっていて、『印象』のコミュでもこの方針を再確認する描写がありました。自分の今までの経験を踏まえれば、色々な想いに応えられるようになる、と美優さんは考えてきました。

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 しかし、今回のカードの親愛度演出では、なりたい自分が何かまだわかっていない、と言っています。確かに、今回のイベントは「想いの行き場のようなアイドル」とは少し違ったもののように思えます。月のように他人の光を反射することで輝くのではなく、自らの存在を自らでアピールするようなユニットとそれとの間にズレがあるように感じます。

 本当にそうでしょうか。確かに美優さんは強くなりました。しかしそれで他人に寄り添う能力を無くしたでしょうか。答えはもちろんNo。先の画像には続きがあります。

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 これまでの足跡は覆されることがないものだと言っています。その足跡にはこのユニットでの活動はもちろん、アイドルになってから今日まで、さらに言ってみれば生まれてから今日までの足跡も含まれているでしょう。美優さんが人に寄り添うことができる、というのは自分の不器用な性格からだと言っていましたが、人に寄り添う優しさとそのための経験は今回のユニット活動で消えることはありません。寧ろ自信のついた今の美優さんだからこそ、より人に寄り添うことができるようになったのではないでしょうか。心にゆとりのない状態では他人に気をかける暇などありません。今回のユニット活動は美優さんに自信を与え、そのことで目指すアイドル像にまた一歩近づけたのではないでしょうか。今までの足跡を再度振り返れば、美優さんも自分が目指していたアイドル像に気付くことができるはずで、その上でどのような道に進むのかも注目ですね。

 

 これからの美優さんについて次に何かあるとすれば、ソロ2曲目でしょうか。乙倉悠貴ちゃんのがついに発表されたことで、光が見えてきました。Last Kissが今回のイベントで割と完成した感じがするので、次の曲が本当に楽しみです。

 これからの美優さんのさらなる活躍を願って、結びとしたいと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

12/22追記:M@STER VERSIONの歌詞について

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本日、レッド・ソールのCDが発売され、M@STER VERSIONもお披露目となりました。私も早速買ってきて、歌詞カード片手に聴きました。2番の歌詞について、星輝子役の松田颯水さんがTwitter

「レッドソールが似合うヒト」とはこんな風に世界を観るのか…最高! て歌詞がくる

https://twitter.com/DApanda323/status/1466724383716970499?s=20 より

とおっしゃっていたので、ある程度自分の中でも歌詞について予想を立ててはいました。しかし、実際の歌詞は私の予想を遥かに飛び越えてよく書かれていて、ここまで伸びる!?と驚かされました、というか狂いました。歌詞が本当に良かった。

 ここからは気に入った歌詞を細かく見ていこうと思います。ただし、今回はブログの趣旨に併せて三船美優さんの文脈だけで読みます。もちろん他の3人についての読み方もできる歌詞なので、お前それだけ?という批判はここで避けときます。

 

孤独を紛らわせるような 

流行りのアクセサリーはいらない

 

 孤独を紛らわせるようなアクセサリーといえば、美優さんが背伸びするために履いてたピンヒールです。大人になりきれない=周りから置いてけぼりをくらう孤独感と解釈できます。その焦りから自分には合わないピンヒールを履いていました。しかし、もはや美優さんにはそんなものは必要ない。彼女には情熱を示す赤いヒールがあるのだから、ということですね。

 

夜に映った夜景の宝石を 

ドレスの胸に 散りばめるの

 流行りのアクセサリーを捨てて、代わりにアクセサリーにするのは「夜景の宝石」だと言っています。1番の歌詞でも出てきた「街明り」などが「夜景」に該当します。「街明かり」とは、街灯を指すこともあるでしょうが、その一方でビルの光なども「街明かり」に当たります。そしてビルの光は、そこで仕事をしている人々がいるからこそあるもので、オフィスワークを象徴しています。オフィスワークをここで強調したのは、かつては美優さんもそれにそれに従事しており、「街明かり」の一部だったことを言いたいからです。

 しかし美優さんはそんな「街明かり」=「夜景」はドレスに散りばめて自身を引き立たせるためのアイテムとしています。もう言いたいことはわかると思うのですが、過去があったからこそ今輝くことができていて、過去は今の自分を引き立たせるアイテムにしているんですね。コミュの中でOL時代のスキルを活用している姿が殊更に描かれていたのは、「夜のメトロ」やこの「夜景の宝石」につなげるためだったんですね。

 

地位と夢 名声と恋愛 

全て欲しがっても...いいんじゃない?

 ここで気にかかるのが「名声と恋愛」の特に「恋愛」の部分です。突然恋愛の話?となるような気がしますが、美優さんの文脈で読んでみるとそこまで唐突ではなく、むしろ欲しかった要素なのでここの歌詞かなり好きです。

 じゃあなんで突然恋愛の話が始まったの?というのに答えていきます。ただ、ここからの話かなり諸説あると思いますし、不快に感じる人もいるかもしれないのでご了承ください。

 質問に対する答えは、美優さんという人間全体を見た時に美優さんが向かっている方向がアイドル活動だけではないからです。美優さんがPに対して依存していて、そこから徐々に脱却していった、という話をしたと思います。しかし、美優さんがPに対して向けている感情がこれ以上薄れることはないと思います。むしろ好意はますます募っていくのではないでしょうか。これには美優さんの幼少期が関係してきます。

 美優さんは親の都合で転校が多かったと話していました。私(筆者)も転勤族だったのでわかるのですが、幼少期に転校を繰り返していると何もかもを打ち明けられるような友人ができないんですね。お前がコミュ障なだけじゃね?という意見、ごもっともです。しかし、美優さんも初対面の人には見た目(怒っているように見える顔立ち)から敬遠されがちで、さらに自発的にコミュニケーションを取ることにに対して明確な苦手意識があります。ただでさえ友達を作るのが苦手なのに、苦労して作った友達も転校となればさよなら。苦しいです。

 そんな彼女の拠り所になっていたのがペットのゴールデンレトリバーだったと思います。犬などの動物は自分から愛情を向ければ懐きという形で愛情が返ってくることが多いです。美優さんの飼っていたゴールデンレトリバーちゃんも例に漏れず美優さんに懐いていたようでした。ペットは飼い主から離れることはありません。逃げたら死ぬので。そういった意味で美優さんが深い愛情を注ぐことができたのがゴールデンレトリバーちゃんだったわけです。

f:id:kn_imasp:20211221183715j:plain←実はこの時点で黒セーラー服だって明かされてた

さらに、画像のように物理的にも寄りかかれるのがゴールデンレトリバーです。ここからも依存的ともとれるようなペットへの愛が読み取れます。そしてこれは幼少期に各地を転々としていたことが関係している、ということです。

 そしてこのように何かに対して裏切られることのない愛を注ぎたいという気持ちは美優さんの中に残っています。それはペットを新たに飼いたいという言葉と、Pに対して自分を預けるような発言に表れています。自分を預けるといっても、依存ではありません。決して自分から離れていくことのないPに対しての信頼と、それから好意。どこに進むかは美優さん自身が決めますが、その隣には必ずPがいる。そのPに向ける好意が恋愛感情に転じていくこともありえます、というか言葉の節々からそれを匂わせてきています。その要素の反映が「名声と恋愛」の「恋愛」にあたる部分なわけですね。レッド・ソールのコミュの中では1人で歩いたらそれを認めて褒めてほしいと言っています。そして1人で歩ける自分になることが、Pの隣で俯かないための一歩だと言っています。支えはいらないけど、隣にはいてほしい。この関係性を上手く歌いこんでいると思います。

 

いつしか朝が来て この時間(とき)は過去となる

ドレスから着替えたら  私はまた新しい明日を生きるの

 「朝」と「この時間」とは何を指しているのでしょうか。ここでは2通りの解釈ができると思います。

 まず一つ目の解釈は、「この時間」=この曲のパフォーマンス、「朝」=この曲のパフォーマンスの終わりだとする解釈です。

 この曲の中では「夜のメトロ」や「真夜中のバラ」など、夜という時間が何度も強調されています。夜という設定がflamme martiniの妖艶な雰囲気を醸造しており、レッド・ソールという曲の雰囲気も作り出しています。「ドレス」もこの曲のためのものであり、「新しい明日」は他のユニットやソロでもパフォーマンスと捉えることができます。

 もう一つの解釈は、「この時間」=アイドルとしての活動、「朝」=アイドル活動を辞めた後とする解釈です。

 ここで美優さんにとってアイドルとは、手段であって目的ではなかったということが関わってきます。アイドルが目的である人物としては佐藤心さんや服部瞳子さん、白菊ほたるや長富蓮実などが挙げられます。アイドルに対して強い憧れを持っていて、それ以外の生き方ができないような人たちです。その一方で美優さんはスカウトされてから【こころ、酔わせて】の特訓コミュまでなりたいアイドル像がありませんでした。社会人をしていた頃もそれ以前もアイドルに対して強い憧れはありませんでした。アイドルを始めた理由は、スカウトされたから。1人では立つことさえままならない状態を脱して人前に立つことを当面の目標としていました。そしてそこから、支えてもらいながら、背中を押してもらって、そして1人で、歩いていくこと。それが目標であって、必ずしもアイドルとしてそれを達成する必要はありません。ただPが仕事としてできるのは、アイドルとして美優さんに自信をつけてもらってそれを実現してもらうことです。だからアイドルは手段であって目的ではないという言葉を使いました。

 こう考えてみると「ドレス」はステージで着る衣装ですし、「新しい明日」はアイドルではなく普通の女性としての第二の、新しい人生として読めます。26歳という年齢から考えてみても、いつかはアイドルを引退することがそこまで不自然ではないものとして読めてしまいます。しかし、ただの引退文脈だけでは終わらないのがこのレッド・ソールという曲の素晴らしさです。次項でそれを見ていきます。

 

いつの日もバラのように 美しく気高く咲きたいから

媚びない 流されない 私の思うまま歩いていく

風を切って ヒールを凛と鳴らせ

 「いつの日も」という言葉が肝になってきます。「この時間」だけでなくどんな時間でも、どんな季節でも、ということですよね。ここでも先程の2通りの解釈に沿って読んでいきます。

 まずは「この時間」をこの曲のパフォーマンスの時間だとする解釈から。そうすると「いつの日も」とはflamme martiniとして活動しているときも、そうでないときも、という意味になりますね。こう考えると。「流されない」ことによってアイドル三船美優さんの持つ魅力がさらに高まっていくことが期待できます。

 『印象』で自分の中にたくさんの色があることを確認した美優さん。ただ、色があるだけでは何の意味もありません。美大生のように芸術を介してその人の内面を見透かすことのできるような一部の人には必要ありませんが、そうでない人には色を目に見える形=パフォーマンスで表現する必要がありますね。となると、当然その手段も非常に大事になってきます。その手段を主体的に選択していき、凛とした姿勢で魅せることができるバラのように咲きたいと言っているのですね。お仕着せの仕事と自分でこだわり抜いた仕事では熱量も質も変わってくるでしょう。そこを高めていこうと言っているのだと思います。

 では「この時間」をアイドルとして活動する時間として解釈した場合にはどうなるでしょうか。「いつの日も」という言葉はアイドルを辞めてからの人生のどの瞬間においても、という意味に置き換わります。しかし、アイドルを辞めてもアイドルをする前の状態に戻るわけではないとここの歌詞が読めてきます。

 流されやすいことや主体性の無さがアイドル初めたての頃は目立っていました。そして美優さん自身もそのことには自覚的で、そんな自分のことを嫌っていましたね。しかしアイドル活動を通じて美優さんは自分の選択を承認してもらい、そしてその行動に結果が伴うという経験を何度も味わうことになります。レッド・ソールのイベントコミュでは誰かに決めてもらったり頼りっきりになるのではなくて、自分がいいと思うものを選んでそれを提供しようとする姿を見せてくれました。まさに「私の思うまま歩いて」いるわけですね。アイドルは目的ではなく手段だと言いましたが、この状態こそが美優さんの初期の目的であって、それが果たされた今(なりたいアイドル像が無ければ)アイドルを引退しても極論問題無いわけです。だからこそこのような読み方が成立するわけですね。引退文脈で読んでいくと、美優さんが最初に持っていた目標を達成したことが殊更強調されて読むことができます。

 では、本当に美優さんはアイドルを引退するんですか?そうはならないでしょう。一度貼りましたが、再度重要なセリフを貼ります。

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 美優さんはまさに今、なりたい自分を主体的に模索している状態であり、その自分の歩みに対しても非常に肯定的なんです。初期の目標を達成して、そこからアイドルとして何者かになることを目指そうとしているのです。そんな彼女が今アイドルを辞める?引退として読めるのは、このレッド・ソールという曲が初期の美優さんの目的を達成した、第1章の最後のページだからであって、それは同時にこれからを期待させてくれるページでもあります。歌詞を一つ目の解釈で読んだ時に見られた、進化していった三船美優さんの姿がこの曲で得られたものです。ここから三船美優さんの物語の第二章が始まるんです。ソロ2曲目にjewelries004。これからますます伸びていくであろう美優さんの成長に期待が止まらないです。

 とりあえずは来月末の10th沖縄公演の開催とパフォーマンスの成功を祈って、追記の結とします。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。レッド・ソール買ってくださいね。買え〜!!!